東京アートミュージアム誕生20年コレクション展

池田龍雄 「広場・逃亡」1992 織田廣喜 「田園の裸婦」1997 草間彌生 「考えるかぼちゃ」1993 舟越桂 「冬の名前」1993  若林奮 「DISCONTINUOUS TWO HOURS-6」1991 

東京アートミュージアムをふくめた、このエリア一体の再開発は1992年にはじまります。東京都による都市計画道路の事業が認可されたことで、南北に細長い土地を斜めに縦断するような恰好で通ることになり、それ以外の土地はきわめて使いにくいかたちで残されることになったのです。そのとき、そうした状況を逆手に取り、これまでにないような街づくりが構想されました。道路に沿った両側を統一的なデザインでつくり直すもので、その構想は建築家・安藤忠雄(1941年生まれ)の手によって実現されることになります。東京アートミュージアムの独特の展示空間はこのようにして生まれたのです。

忘れてはならないのは、この展示室が街づくり全体のなかで意味をもっていることです。隣接する劇場や保育園、集合住宅、テナントとして入る飲食店など、このミュージアムはそれらすべてがつながっているのです。街が生まれる――これは2007年に東京アートミュージアムで開催された安藤忠雄展の展覧会タイトルですが、文字どおり、これらのアート作品はこの新しい街で生まれた出会いによってつながっているのです。

このコレクションは、作品だけを見るならば、ジャンルもスタイルもバラバラなものの寄せ集めのように思えるかもしれませんし、実際のところ、そうなのでしょう。唯一の共通点は「この街で出会った」ことに求められます。出会いとは、人間が予測できる範囲をこえる、縁としか呼びようのない出来事であり、その積み重ねがこの場所の歴史をつくってきたのです。今回の展覧会では、そうした機縁によって集まったアート作品の展示を通じて、そうした歴史の一端をご紹介します。

藤井 匡 / 美術評論家、東京造形大学教授

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ANIMALS & FRIENDS
Photography and Painting

Katharina Arndt Joseph Broghammer Michael Dressel Joerg Engelhardt Stephan Erfurt
Elliott Erwitt Philip Groezinger Theo Heimann Koro Ihara Hiroji Kubota
Masumi Kura Mikos Meininger Vera Mercer Koji Onaka Paul Pretzer
Christian Rothmann Haruna Sato Alec Soth William Wegman Mario Wyrwinski

人間と動物は何世紀にもわたって特別な関係を築いてきました。人間にとっての動物は、狩猟の対象であり、また、食料の提供者、仕事や輸送の手段、ペットでもあります。美術や宗教においては、動物は象徴・供物・儀式の対象として機能します。動物の仮面は、一部の民族集団やカーニバルで大きな役割を果たし、人が変身して日常生活から逃避するのに役立ちます。

現在、人間と動物の間には特別な感情的関係があり、これによって、愛と安らぎが与えられ、社会的な接触が可能になり、孤独が和らげられます。動物は私たちの人間の世界で飼いならされており、私たちの日常生活の一部であり、動物園で見ることができます。野生では動物も危険な場合があります。

この展覧会に参加するすべてのアーティストは、人間や動物に対する独自の視点を持っています。観察的で、一定の距離を保ち、超現実的で、ユーモラスで、敬意を持っています。

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本展は東京・ベルリン友好都市提携30周年記念行事です。

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「やわらかくて、かたい」
上原修一 銅版画作品展

ガウディのテーブル、そして椅子/The table & the chair, A tribute to Antoni Gaudi. | 2020年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/+コラグラフ/2版3色雁皮刷り | 87 x 62 cm テーブルの上にも下にも私の荷物/My parcels on the table, under the table. | 2019年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/+コラグラフ/+コラージュ/2版8色雁皮刷り | 78 x 58 cm 泳ぐ/ swimming. | 2021年 銅版画 エッチング/ディープ・エッチ/アクワチント/+ステンシル/2版3色雁皮刷り | 60 x 90 cm 階段を上る人下りる人/gentlemen going up & down the stairs. | 2022年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/スピットバイト/2版2色雁皮刷り | 24 x 16 cm

銅版画は製版と刷りを経て間接的にイメージを表現する行為であるが、そのプロセスにおいて作家の意図・計画から大きく外れた状況にしばしば遭う。ジョセフ・ペネルの「偉大なエッチャーで、かつて腐蝕の技術をマスターした人はいなかった」という言葉が、エッチングのみならず銅版画すべての技法に現在でも当て嵌まる。版・インク・紙は、じゃじゃ馬のように我儘であり且つ魅力に溢れた存在だとしみじみ思う。

私は制作途中のコントロール出来ない「偶然」の状況を受け入れることを厭わない。むしろ、その即興性との協奏を自らの「必然」の技法へと繋げる工夫が楽しく嬉しい。そこに私自身の想像力を遥かに超える新たな「表現」の可能性が朧げながらに見えてくる。

銅が持つ柔らかさと硬さのバランスを介さなければ顕せない「銅版画」の世界を展示いたします。ご高覧賜われましたなら幸甚に存じます。

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