版画の〈うつす〉

若林奮 彦坂尚嘉 堀浩哉 辰野登恵子 舟越桂

会期:2022年7月9日(土)-12月25日(日)
開館時間 :11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 :木・金・土・日
休館日 :月・火・水
夏期休館: 8月12日(金)-14日(日)
(展示替および館内メンテナンスのため、会期期間外は休館)

入場料:一般 500円/大高生 400円/小中学生 300円
主催:東京アートミュージアム
企画:一般財団法人プラザ財団

[ご来館に際してのお願い]

ご来館の際は、マスクの着用をお願いいたします。
体調がすぐれない場合や発熱のある場合などは、ご来館をおひかえください。

本展について

うつす。漢字では「写す」「映す」「移す」などと表記して、各々で意味が異なります。

「写す」は「文書・絵などを元のとおりに書き取る」、「映す」は「反射や投影などによって物の形や姿を他の物の表面に現す」、「移す」は「位置や地位を変える」といった意味で用いられます。しかし、言葉を使おうとすると、どの漢字をあてるべきか迷うことが多々あります。実際には、これらは明確に切り分けられないところがあるのです。それは〈うつすもの〉と〈うつされるもの〉の関係が、微妙なニュアンスの違いをもちながら、多様に絡まりあっているからだと思われます。

美術作品の場合、抽象的であれ具象的であれ、観念的であれ実在的であれ、定着されたあるイメージ(像)が視覚的に伝えられることになります。このイメージを生み出し、定着させる方法はアーティストごとにさまざまであり、それが美術表現の豊かな広がりをつくりだします。〈うつす〉の多様性はこの豊かさに導かれるものと言えます。特に版画技法を用いる表現では、〈うつす〉の多様性はさらなる展開を見せることになります。技法のもたらす制約や版元(プリンター)との関係が表されるイメージにフィードバックされるからです。

本展に出品される五人のアーティストは、いずれも、絵画や彫刻などを手がけてきた作家であり、版画を中心に制作を行ってきたわけではありません。だからこそ、ここでの〈うつす〉の意味はより重層的になります。1枚の版画のなかに見られる〈うつす〉の多様な意味を考えることから、「版画を見ること」と「版画を通して(何かを)見ること」の面白さを発見していただければと思います。 

藤井 匡 / 美術評論家、東京造形大学教授

展示作家

若林 奮/WAKABAYASHI Isamu (1936-2003)
彦坂尚嘉/HIKOSAKA Naoyoshi(1946-)
堀浩哉/HORI Kosai(1947-)
辰野登恵子/TATSUNO Toeko(1950-2014)
舟越 桂/FUNAKOSHI Katsura(1951-)